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『リカーシブル』で田舎の恐ろしさに驚愕する

「リカーシブル」と聞くと「再帰的」とか「再帰呼び出し」が頭の中に浮かんでしまうのである。この辺は職業柄なのだろうか。で、コンピュータの話かと思ったら全然違いました。

 

父親の失踪によって、母、娘、息子の三人は母がかつて住んでいた町に引っ越すことになる。

主人公である娘は血の繋がっていない弟の面倒を見るのだが、弟がデジャブのように「この景色を見たことがある」などの不思議発言を繰り返すようになる。この町には一体何があるというのか。

 

何かがありそうで、その正体がよく分からない、陰々滅々とした雰囲気がずっと続きます。

高速道路が通れば幸せになると信じている者たち、自分達に都合よく解釈された伝承民話、ヨソ者を弾く閉鎖性、など都市部に生きている者の視点では、今時こんな場所なんてないだろうと思ってしまいがちですが、新幹線やリニアのルート選択や駅誘致の話をニュースで見聞きすると、現在進行形でも存在するのかもしれません。

もちろん、町の復興だけでなく、土地の売却益を得たいという思惑も絡んでいるのでしょうが。

 

 

物語は終盤に怒涛の展開に!中学生の主人公が気付いたトリックは圧巻。

たかだか高速道路誘致を有利に進めるための報告書を入手するためだけに、ここまで大掛かりな仕掛けをするのかと驚嘆。弟はなぜ未来が見えるような発言をするようになったのか、なぜ町や学校の人々がよそよそしかったのか、その理由が最後に明らかになるのですが、かなり驚愕の理由です。

 

そういえば、最近、こんなニュースがありました。

JR東海がリニア新幹線中間駅の建設費をお前らの希望通り全額負担したらブチ切れてこうなった : 市況かぶ全力2階建

高速道路が通ったら、新幹線の駅ができたら...などと言っている田舎者たちは現実を直視した方がいい。山陽新幹線の寂れた駅の数々を。全国に出張に出かけているが、降りたことのない新幹線の駅の方が多い。東京や大阪などの都市からわざわざデキの悪いコピー都市にでかける人間がいるのかと。

 

でも、そんなことにも気付かない人たちがいるのだな、ということがちょっと分かった小説でした。

リカーシブル

リカーシブル