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読書:『鏡の花』(道尾秀介)

短編集なのだが、それぞれの物語が密接に繋がっている。

全ての短編の登場人物が同じなのだが、ちょっとずつ設定が異なっている。たとえば、1つ目のストーリーで死んでしまった人物が、2つ目のストーリーでは死なずに生きている設定だったりする。

短編集というと、普通はそれぞれが全く異なっていて独立しているか、登場人物だけは同じだというような緩い繋がりを考えてしまうのだが、そのどちらとも異なっている。いわゆるパラレルワールドが1冊の本で展開されているのである。

 

各話で共通しているのは、必ず誰かの身内が一人は死んでいて、そこに繋がりが深い人の心情を中心に話が展開していくこと。

 

人の生き死にの境界線なんてとっても微妙なもので、その線を越えるかどうかは本当に運のようなものも係わっていて、それはきっと誰のせいでもなく、ある程度仕方がないものなのだ、だから生きている者は死んでしまったのは自分のせいだと思いすぎない方がよい、そんなメッセージを受け取った気がした。

 

身内が死んだときには、ああすれば良かった、自分が原因だったのではないかと自己嫌悪に陥ったものだが、世の中で起こった何かを全て自分のせいにしていては身が持たないな、と改めて思った。もっと気楽に生きていこうと思えるのだ。

 

鏡の花

鏡の花