【読書】アイネクライネナハムトジーク(伊坂幸太郎)
アイネクライネナハムトジークって何だか聞き覚えのあるキーワードだと思ったらクラシック音楽であった。本編にも出てくるけど、日本語訳すると「小夜曲」。どちらにしてもピンと来なかったのだけど、聞いてみたら、ああこの曲か、というくらい有名な曲だった。
物語は短編集。主人公は毎回違っているのだけれど、読み進めていくと、少しずつ繋がりがあることが分かっていく。それは親子であり、友人でもあり、元恋人だったりする。
各短編の中に出てくる人たちは、ほとんどがどこにでもいるような普通の人たち。サラリーマンだったり、美容師であったり、高校生であったり。
日常って退屈で、新しい刺激を求めたりしがちだけれど、人と人との出会いや繋がりこそが日常の中に潜んでいる人生で一番楽しい娯楽なのである。そんなことを再発見できる。人生はそんなに捨てたものじゃない。
人は人と出会って別れて、忘れても思い出して、少しずつ繋がっていって受け継がれていく。楽しいことを見出すのは自分自身かもしれない。人との出会いって、別に旅に出て自分を知らない人と会うことだけじゃなく、ふとした日常の中にもありえるのである。