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アラフォーサラリーマンが本を読みラーメンを食べてマラソンを走って旅してIngressする物語。JGCとSFCのダブルホルダーだけどシンプルに生きて行きたいと願う日々。

【書評】自分で自分の呪いを解く『本屋さんのダイアナ』【感想・まとめ】

あらすじ

「大きな穴と書いてダイアナ」そんな自分のキラキラネームが大嫌いなダイアナ。

母子家庭で母親はキャバ嬢で親子揃って金髪。絵に描いたような下流家庭に育つ彼女が好きなのは読書。本の中の世界に憧れ、読んでいる時間だけは本の世界に入ることができるから好き。

何一つ不自由のない裕福な家庭で温室育ちの彩子。趣味は読書やお菓子作り。

こんな正反対の環境に育つ二人が出会い、お互いに自分が持っていない相手を羨ましく思いながら、小学校卒業を前に絶交状態になる。

別々の人生を歩みながら、ふとした時に思い出す横顔。そして、一冊の本で深く繋がっていた事実。大人になり、二人が自分自身の人生を歩き始めるまでの物語。

 

感想

隣の芝生は青い、少し下に見ていた人が実は自分と同レベルではなかった。

そんな風に自分のポジションを他人との関係性の中で保とうとすると、他人の評価軸でものごとを判断するようになり、恋愛至上主義になってしまう典型例。

学生時代、田舎から出てきた真面目な女の子が、イベントサークルに入って夏休みを明けたら派手な格好になって、授業に来なくなったことを思い出しました。ああ、あの子は結局卒業できたのだろうか。

自分自身の生まれや育ちを恨み、自分がこうなったのはどうしてなのか、本の中の美しい世界なんて現実には存在しないんだ、と自分自身に呪いをかけ、束縛して身動きできなくなる。

なんでもかんでも他人のせいにする人生を送っていないだろうか。

それは誰のせいでもない。自分自身に対して「どうせやっても無駄」「自分はこういう人間だから」と決めつけてしまってないか。

「本当の自分」みたいな言葉は嫌いだけれど、周りにどう見られているか、とか自分はどのランクにいるんだろうか、みたいな外部からの評価で自分自身のポジションを考えるのではなく、もっと気楽に、自分がやりたいことを気にせずやればいい。

若い頃はそれに気付くのがなかなか大変。自分はこんな人間なんだ、こうあるべきだと決めつけてしまい、結果として息苦しい人生を送ってしまう。

この辺りは最近話題になったアドラー心理学を解説した『嫌われる勇気』が参考になります。

本の中には美しくて理想的な世界が広がっている。けど、現実はそんなに美しいものばかりじゃない。

でも、自分自身がなにをしたいのか、自分自身にかけた呪いを解いて前に向かって歩きだそう。そんな気持ちにしてくれます。

20代、これからの人生をどう歩んで行こうか悩んでいるときに読んでいればな、と思った一冊でした。