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アラフォーサラリーマンが本を読みラーメンを食べてマラソンを走って旅してIngressする物語。JGCとSFCのダブルホルダーだけどシンプルに生きて行きたいと願う日々。

大ボラ吹きの彦根が大活躍する情報戦「スカラムーシュ・ムーン」海堂尊

スカラムーシュ・ムーンを読んだ。

海堂尊のバチスタワールド、今回の主人公はスカラムーシュこと彦根。

ふらっと現れては言葉巧みに人を誘導しては混乱を招く弁舌家が、その能力を全開にする。

「日本三分の計」と称して西日本独立を目指し、浪速モンスターこと村雨府知事のブレーンとして資金集めや説得のために世界を飛び回る。

一方で浪速独立を潰しにかかるために中央官僚からワクチン戦争を仕掛けられると読み、その準備をする。

チームバチスタのような医療現場の話やミステリーが排除された、完全なる情報戦の世界。相手が何を仕掛けようとしてるのか、いつ、どのタイミングで何をするのが最適なのか。

頭がキレる人間というのはこんなことを普段から考えているのだろうか、いや、これは小説だからで、偶然の産物のように見える人と人のつながりが物事を少しずつ前に進めていくだけだろうか。

浪速独立、村雨潰しのために警察庁が送り込む最強の刺客と彦根の戦いに最終的に勝ったのはどちらなのだろうか。どちらも自分が勝っているのに相手に勝ったと思わせるのも戦略なのか。

バチスタシリーズ本編?の桜宮Aiセンター爆破崩壊事件と同じタイムラインで、桧山シオンが彦根のもとを去った心情が描かれているが、ここまでダメな男というのも素晴らしい。

すっかりバチスタシリーズも医療と司法、民間対官僚みたいな構図になってしまって、元々あったミステリー要素がなくなって残念だけど、軽快なタッチと会話のテンポで情報戦が進められていくのでグイグイと引き込まれていつまでしまう。

物語の途中、過去の作品にでてきた脇役的な人たちの名前が出ると、「おっ」と思うのだけど全員集合するような機会はまだまだた先のようで。

ちょっと食傷気味だな、と思いつつ、新作が出ると読んでしまう、不思議なバチスタワールドなのである。この本を楽しむには「ナニワ・モンスター」も読んでおくとよさそうです。