【読書】怪我なく走れることに感謝する大切さ「常識破りの川内優輝ランニングメソッド」津田誠一【ランニング理論】
タイトルと表紙を見ると川内優輝本人が書いたメソッドかと思うが、学習院大学時代の監督が書いた本。
高校時代の成績がパッとしなかった川内優輝が学連選抜で箱根駅伝を走れるレベルになり、その後、最強の市民ランナーになるための練習方法はゆっくり走ることであるという。
市民ランナーにも通用するであろう、その練習方法の極意をまとめてみた。
ゆっくりジョグと週2のポイント練のみでよい
平日はゆっくりジョグで疲労を溜めない程度の練習のみ。毎日追い込んだ練習をしても、細かく痛んだ筋肉や関節は回復していないのである。
ジョグのペースは目標としているレースペースからキロ1分〜1分30秒程度落として1時間くらいで十分。
水曜日のポイント練ではスピード練習としてインターバル走。ラップタイムはレースペースから15秒速い程度のタイムを5本程度。
日曜日のポイント練はロング走で20-30kmほど。レースペースとジョグの間くらいのペースで、走り終わったあと、まだ続けて走れるくらいの余力がある程度で。
追い込み続ける練習では披露が抜け切れず、怪我のリスクが高まるだけでなく、本番まで疲れを引きずってしまうことでベストタイムが出せなくなる。
川内優輝が失敗したレースは、大抵練習時のラップタイムが速過ぎるなど、追い込みすぎたことが原因である。ゆっくり走って疲労が抜けた状態で臨んだレースでは結果が付いてきている。
膝のタメがあるフォームが理想
フォアフット、フラット着地、ヒールストライクなどの着地方法があるが、どこから着地するかは意識せず、走っているうちに自然に身につくフォームで走ればよい。
理想的なのは膝にタメがあるフォーム。膝にタメがあると終盤になってもダレることなく粘ることができる。
「膝のタメ」がどのようなものであるか、客観的に説明しているものはなく、感覚的なものである様子。
著者は「見れば分かる」と主張しているので、何かしら感覚的には捉えているものがあるのだろうけど、それをうまく言語化や画像化できてないの感じである。
感想
平日のゆっくりジョグとポイント練習という考え方は、平日は仕事、週末も家族サービスでなかなか時間が取れないサラリーマンとしては嬉しい練習方法である。
「ゆっくりジョグとポイント練習だけ」という追い込まない練習方法を提唱している書籍が数冊ある。
サブ3.5以上を目指すとなると、距離走やインターバル走などで相当追い込む必要がある、と唱えているトレーニング本があるのも事実。
しかし、平日は仕事、週末は家族サービスなどで追われている社会人がそこまで練習できるかと言われると、なかなか難しい。
無理せず、追い込まない練習方法でマラソンのタイムを上げることができる練習方法は嬉しいものである。
本書以外に、ゆっくりジョグとポイント練だけで、追い込み過ぎない練習を唱えている二冊を紹介。
怪我なく、続けられる範囲で続け、結果して自己ベスト記録を更新して行く。トッププロではない市民ランナーとしては、これが目標であったはず。
そして、本書の最大の主張として、
今日も怪我なく走れることに感謝する
この言葉を見てハッとした。この気持ちを忘れていた気がした。今日は走りたくないな、練習ツライな〜、と思うことがあったけど、そもそも走ることが楽しくて、走れること自体を喜ばなければ。
冬にギックリ腰をやり、正月明けに無理な練習をしたら軽いヘルニアの症状が出たとき、走れないことが悔しかった。
久し振りに走れたのは嬉しかったのに、その時の気持ちを忘れてしまっていた。怪我なく、毎日楽しく走る。
ただそれだけで嬉しかったはずなのに、いつの間にか修行のようになり、楽しいはずのものが楽しくなくなってしまう。
人生を楽しむ。マラソンもそのうちの一つ。
そんなスタイルで練習していく人にはオススメの一冊。