【読書】神鉄はどこに...「神戸電鉄殺人事件」西村京太郎【書評】
西村京太郎といえばミステリー作家の第一人者。その電車の時刻表を使ったトリックを解くために、手元に時刻表を置きながら読んでいたのは、もう数十年前。
久しぶりに手に取った西村京太郎の本は「神戸電鉄殺人事件」
神戸新開地から六甲山を越え、三田や名湯有馬温泉に繋がるローカル路線。普段から使っている訳ではないけれど、有馬温泉までトレイルランした帰りに使うこともあるので、自分に馴染みのある路線なのである。
そんな、特別なにかがわる訳ではない電車が西村京太郎サスペンスの舞台になると言うのであれば、読まない訳にはいかない。そんなことを期待して手に取ったのでありました。
結論:がっかり
東京に住み、横浜のホテルに泊まっていたはずの女優が、なぜか神戸異人館のプールに見知らぬ男と死体で発見された。女優と神戸の接点はまるでなく、なぜか死後になると女優の知り合いを名乗る人物が次々と現れる。女優はなぜ殺されたのか、なぜ神戸にいたのか。
というストーリーと前振りなのだけど、肝心の神戸電鉄は中盤以降にちょっと登場するだけ。しかも、有馬温泉と有馬口までの一区間のみ。
時刻表トリックは一切ない。それどころか、誰がどうやってどんな理由で殺したのかも明らかにされない。
舞台としては、神戸異人館エリアと有馬温泉が出てくるが、この舞台の必然性がまったく感じられないし、最終的に理由も明かされない。
ある意味で、読者を謎に包んだまま終わった推理小説であった。久しぶりに時間を無駄にしたと思った。
「犯人は神戸電鉄に乗らず六甲山をトレイルランニングして電車より早く到着したんだ!」
「なんだってー」
みたいな超展開の方が面白かったと思いますまる。