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『赤猫異聞』で人の優しさに触れる

明治の始め、江戸の町で発生した大火災のおりにいわゆる「解き放ち」で放免された者たちを巡る物語。

放免された三人には、それぞれ意趣返しをしたい者がいた。放免後、各々が様々な感情を抱えて腹を括った上で向かった先で見た光景は、すでに何者かによって殺された姿であった。

一体、誰がやったのか...腑に落ちないまま生き延び、過去を振り返る。


最後には浅田次郎らしい人情物語になるのだけど、最終章になるまでさっぱり謎が分からなかった。

それぞれが、それぞれの正義と信念を持って行動を起こす。誰のためにではなく、自分のために、後の世のために。
何が正しくて何が悪いのか。法と秩序の世界から金と縁故の世界に変わる時、価値観は一瞬にして変わってしまう。それでも人としてあるべき姿を押し通し、他人のためにひっそりと息を断った者がいた。


「生きていて良かった」

自分自身がそう言えるように、他人にそう言ってもらえるように。そんな人生を送ってみたいものである。

赤猫異聞

赤猫異聞