【読書】新訳 信長の言葉(童門冬二)
織田信長とは一体どんな人だったのか
謎が多くて評価が分かれる織田信長。大うつけ者、軍事の天才、癇癪持ち、感情屋さん、覇王、天下人、第六天魔王などなど様々で強烈な印象を残した戦国時代の英雄。
そんな信長が残したと言われている言葉を集め、その背景や解釈を著者が綴っている信長解説書のような位置付けになっている。
その解説を読むと、ああ、童門冬二は信長が大好きだということが、その愛に満ちたコメントから分かる。何故それが分かるかというと、僕自身が信長が好きだからである。
情報戦の天才のイメージ
戦争の天才といえば、武田信玄や上杉謙信のイメージが強いけれど、用意周到な情報戦は信長の方が上手だったのではないかと思っている。その代表的なものが今川義元を奇襲で破った桶狭間の戦いである。
今川義元の首を取った者よりも、布陣の情報などを把握して入手した者を賞賛する。そんな情報の重要さを認知していたのが信長だと思っていたのが、それが信長の言葉としても裏付けられている。
もし歴史にifがあるのなら
もし、今の日本と違う日本になる可能性が最も高かった『歴史のif』と聞かれて、本能寺の変がなくて信長が生きていれば、と答える人はきっと少なからずいて、ふと小学生時代に映画で見た「時空の旅人」を思い出した。確か「火の鳥 鳳凰編」と同時上映をしていて、本命は「火の鳥」だったのだけど、映画が終わったら「時空の旅人」の方が強く印象に残っていて、それは、あれから30年近く経っているのに覚えているくらいである。
謎は謎のままで
本能寺の変とは一体何だったのか。明智光秀に囲まれたことを知った信長の最後の台詞「是非もなし」の意味は何だったのだろうか。信長の死体はどこに行ってしまったのだろうか。
「信長の棺」では本能寺にカラクリがあった可能性を示唆し、「本能寺の変431年目の真実」では明智光秀の黒幕は誰だったのかを推理して、今はドラマで「信長協奏曲」が放送されている。
定期的に信長に関する小説や解説書が出てくるところを見ると、実はみんな信長が好きなんでしょ?などと思ってしまうのである。そして、謎は謎のまま、解き明かされないことも歴史のロマンなのかもしれない。