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【読書】ナオミとカナコ(奥田英朗)

奥田英朗の本は基本的に最後に救いがない、現代社会の闇というか暗い部分を突きつけられる感じがして好きである。で、きっと最新作の「ナオミとカナコ」も同じような展開になるのだろうと予想しながら読んでみた。他人の不幸は蜜の味、とは誰が言った台詞なのだろうか。奥田英朗の小説には破滅に向かっていく他人の姿を見るような趣があるのである。

百貨店外商部に勤務するナオミと学生時代の友人で専業主婦のカナコ。ある日、ナオミはカナコが夫からDVを受けていることに気付き、殺害する計画を持ち掛ける。そして、二人で計画を立てて実行に移るが果たしてそのまま完全犯罪で逃げ切ることができるか、はたまた素人の女の浅知恵は通用せずに捕まってしまうのか。最後までどっちに転ぶのか分からない展開であった。

そもそも、DVされてる友達を救いたい!という思いが、よくも殺人まで発想が飛躍するものであると感心する。しかも自分が関係ない他人の話なのに。自分のことじゃないから妙に強気で、弱気な友人をけしかける。計画は立てるけど実行は自分じゃない。そして、予定外のことが起こるとキレる。うん、中学のクラスに必ず一人は紛れ込んでいるタイプである。ああ、こういう人に振り回されてしまうんだよな。他人のため、と言いながら取っている行動に自己満足して陶酔してしまうタイプ。苦手である。

殺人計画にしろ実行段階にしろ、普通の会社員ならその杜撰さに気付くレベル。いやいや、どう考えてもそんなのバレるだろ。甘すぎるだろ、と心の中で呟くこと数回。そして、徐々に追い詰められていく二人。お、ついに捕まるか、という場面を何度かすり抜けて行く。残りページが少なくなってきて、一体どういう終わり方にするのだろうか、どこでどういう風にして捕まってしまうのか、そればかり考えて最後まで読み続けていた。

タイトル通り、この小説の主人公は二人の女性。最初は何事にも強気でリーダー格のナオミ、一方、ちょっと弱気で殺人までするつもりがなかったカナコ。それが、殺人後、徐々に心理が変わってカナコの方がどっしり構えるようになる。そして、ナオミは神経質にカリカリしだす。少しずつ性格が変わって役割分担まで変わっていく二人。普段からおっとりしている人の方が、いざという時に度胸が座るものだ。そして、最後まで二人を追い詰めるのも女。やっぱり女の執念は怖いものである。

DVして殺されないようにしないとな、などと思うのであった。まあ、でも、DVする男性の気持ちって分からないんだけどね。なんで暴力振るうのかな。

 

ナオミとカナコ

ナオミとカナコ