【読書】「ミネルヴァの報復」
ストーリー要約
主人公の女弁護士の元に、かつて大学の法学部時代の男性の先輩が妻との離婚調停について相談に訪問したことからすべてが始まります。
明らかに男性にとって不利な状況で話が展開していくのに意外と平然としているどころか、最終的には愛人のところから妻のところに戻って大団円に見せかけられます。
しかし、その先輩も妻も弁護士会館で殺害されます。かたや弁護士と相談するブースの中での絞殺、もう一方は地下通路での射殺。
離婚調停をしていたといえ、愛人の失踪と夫の帰宅によって離婚の危機が去ったと思いきや、結局両者とも死んでしまうのです。
謎を解くキーポイントは司法修習生同期の女弁護士。最初からある程度結末が見えていたような雰囲気を漂わせながら、主人公本人には直接的には伝えることはありません。
結果、犯人は身近なところにいる、という推理小説の王道の結末になるのです。
感想
前半から中盤にかけて一気に物語が加速します。
えっ、これ、誰が犯人なんだろう。最も確率が高そうなのは、この人だけど、どうなんだろう。どう思いながら読み進めると...
「犯人はヤス」
この台詞を覚えているゲーマーは多いと思いますが、それくらい、『ポートピア連続殺人事件』は名作で、それまでの概念を簡単にひっくり返してしまったのです。
まさか、一緒に事件を操作していた助手が犯人だったとは...
今回も実は「犯人はヤス」に近い内容、トリックであったと思います。最も身近で味方だと信じている人間が一番怪しい、と。
しかし、ポートピア連続殺人事件に比べると、「えー、そんなことあるかな」と思わざるをえないのです。
まず、40歳近くまで彼氏を作らなかった女性が、簡単に弁護依頼人の男と関係を持った上にハマり込んでしまうようなことがあるだろうか。
ちょっとグアムで射撃練習をしたことがある程度で、サイレンサー付きの銃で簡単に人間を殺せるのだろうか。
いや、そもそも銃をどうやって日本国内に持ち込むor買うのでしょうか。
そして、目印であるエルメスのバーキンを偶然死ぬ直前の妹が持っていた、という設定はご都合主義のような気がしました。
二人が殺されたあたりから一気に物語の展開は加速するものの、最後のところで、ちょっと冷静に、うーん、と唸った一冊でした。
タイトルの意訳
タイトルに含まれていた「ミネルヴァ」とは一体何だったのでしょう。
wikipediaによると
神・詩・医学・知恵・商業・製繊などを操る集団です。
ここは、知恵を有する女性、と解釈したいと思います。
が、結局、何が知恵の女神の報復なのか理解できませんでした.