【読書】ユーザーへの価値提供に集中せよ「シンプルに考える」(森川亮)【書評・まとめ】
シンプルに考えるを読んだ。
全世界で1億ユーザーを超えるアプリケーション、LINEを作った森川社長のビジネスに対する考え方を示した一冊。
日本テレビ、ソニーという大企業を経てインターネットベンチャーに身を投じた氏の経営に対する考え方は、大企業では常識として続けられていることと対照的である。例えば、
- 年功給を廃止して成果給のみ
- 評価は360°C多面評価のみ
- 作業は標準化しない
- 計画は立てない
- 社是はいらない
- 差別化はしない
そこそこの規模の企業からすると、びっくりするような話ばかりである。
かつて転職活動をしたとき、エージェントから「この会社は毎朝社歌を歌って社是を読み上げ、創業者の本を読む必要があるけど受けますか?」と聞かれて断った会社がある。
そんな会社からすると驚天動地の仕組みである。
すべてはビジネスを成功させるために無駄なことを削ぎ落とした結果、たどり着いたという。
ビジネスは、もっとシンプルです。いいサービスを出していれば、いつか結果はよくなるはず。それを信じて、ユーザーに価値を提供することだけに集中する。それが成功への最短距離。
誰のために仕事をしているのか。ユーザーを向いて仕事をしているのか。仕事のための仕事になっていないか。
自分の会社、自分の仕事にあてはめて考えると、なんて無駄なことを大量にやっているのだろうかと思い当たることが山ほどある。
LINEのような新興のインターネット業界で勝負している会社ならではの考え方だとは思うが、ここまで思い切った組織と仕組みを作れるのは羨ましい。
給与体系や評価制度などのドラスティックな改革や変化は難しいだろうけど、自分のできる範囲でやれることはたくさんありそう。
それは、無駄な情報共有の会議を廃止する、目的を明確にした議論は徹底的にやる、すべての仕事は誰のためにやっているのか意識する、これらのことを少しずつ始められるはずである。
ユーザーに価値を提供することだけを考える
シンプルにして最も難しい課題。
「ユーザーの声」を単純に聞くだけだと、肥大化した要望や機能がてんこ盛りになってしまう危険性がある。本当に価値があるものは何なのか、ユーザーが真に求めているものは何なのか。
それを見つけるのは至難の業である。が、そこを追求できた者だけが生き残ることができるのかもしれない。
そのヒントがたくさん詰まった一冊でした。