【読書】女性の恐ろしさがたっぷり「最後の花束」乃南アサ
乃南アサの「最後の花束: 乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫)」を読んだ。サブタイトルにある短篇傑作選のとおり、全部で11編の短編から構成されている。乃南アサを初めて読んだのは「凍える牙 (新潮文庫)」だったので、そこから考えるとかなり久しぶりに手に取った一冊。
全編、基本的には女性が主人公で、その内面に秘めた感情がどこかで爆発するというタイプの終わりを迎える。そこに共通していえるのは「女性をバカにしたり裏切ったりすると大変な仕返しが待っている」ということ。
双方でセフレだと勝手に勘違いして女の気持ちを無視した男、普段から健気に家事をしていて不満をもらさない妻に勘違いした男、幼なじみの女性と会うときに優しく送り出していると思い込んでた男、浮気相手の女に枕を貸していたことがバレないとタカをくくっていた男...
こうやって書き並べてみると、女性が怖いというよりは、女性の心理を理解していない男がバカだということになのだろう。
ただ、相手の考えていることをすべて理解するのは不可能なのは分かるが、普段の言葉の裏に隠された真意を読み取るというのは本当に難しい。
大抵の男性は「言ってくれなきゃ分からないよ。」と言いたいところなのだろうが、女性からすると「言わなくてもそれくらい察してくれよ。」ということなのか。
これはまさに「察しない男 説明しない女 男に通じる話し方 女に伝わる話し方」の世界そのものである。この本は読んでいたけど、結局最終的には相互理解は難しいんだなと納得した記憶がある。
で、この短編集を読んでいると、最初の話はスマホやLINEなどが出てくるのだが、別の話では携帯電話すら登場してこない。ふと作品が書かれた時代を見ると90年代後半の短編が含まれていた。
今の若い人がこの短編集を読んでも、携帯電話やメールすらない時代のことなんて分からないんだろうな〜、と思うような年齢になったのだと自覚しつつ、女性の心理というものは昔も今も変わっていないんだということに気づき、背筋が寒くなる。
自分もきっとどこかで女性の恨みを買っているんだろうか。
考えても仕方のないことなのだが、やはり女性の言動を真に受けるのは止めるようにしよう...