【読書】「果糖中毒(ロバート・H・ラスティグ)」人類みなデブ化計画の主犯は果糖
過去28年で世界の肥満人口は2倍に増えたのだという。まあ、たしかに周囲を見ても太っている人が増えたような印象がある。
これは先進国だけではなく新興国も同様に肥満率があがっていることから、お金や食糧の有無以外の要因に着目したレポートである。
果糖とはなにか
結論として犯人は「果糖」と断定している。果糖とはなにか。
炭水化物は「デンプン」と「糖分(果糖分子を含む)」に分類される。デンプンは普通の食物に含まれ、最終的にグルコース(ブドウ糖)となるので問題はない。
問題となるのは「糖分」で、これはさらに「ショ糖(砂糖の主成分)」と「異性化糖(フルクトース、コーンシロップ、ぶどう糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液など)」に分類される。
果糖の摂取量が増大している
最近の人類の総摂取カロリーに占める炭水化物の割合は、30年前の40%から50%に増えている。若干増えたとはいえ、1.25倍であり、そこまでひどい上昇率ではないので炭水化物を過度に嫌う必要はない。
また、総摂取カロリー自体もそんなに増えていない。
しかし、果糖の摂取割合は8%から12%と大幅に増加。摂取量は過去30年で2倍、100年で6倍にまで増えている。
ここに肥満の原因があるのだ。
脂肪が増えるメカニズム
そもそも、脂肪が増える仕組みはどうなっているのか。
- 食物を食べると血糖値が上昇する。
- 膵臓が血糖値を下げるためにインスリンを分泌する。
- インスリンがグリコーゲンを生成して肝臓に貯蔵し、筋細胞に運搬する。
- 余剰グリコーゲンは脂肪細胞の中に貯め込まれて肝臓などの内臓に付着する。
一度内臓に蓄積された内臓脂肪は、人類が過去に飢餓から逃げていた時代の名残で簡単には手放さない。
増えた内臓脂肪は簡単には落ちない。だから最初から内臓脂肪をつけないようにするのが重要である。
そのカギを握るのがインスリン。
インスリンの分泌をいかに抑えられるかが内臓脂肪を増やさないようにできるかのポイントである。
果糖の過剰摂取がデブの素
炭水化物を過度に嫌う必要はないが、異性化糖は可能な限り減らすべきであるというのが本書の主張である。
そもそも、異性化糖は人間が作り出したものなことが多く、自然界から摂取したものを中心に食べていれば、そんなに心配はない。
しかし、近年の食生活では、油断すると、いたるところに異性化糖が含まれていて、知らず知らずのうちに摂取している。
このデブの素の摂取をいかに少なくできるかがデブにならないポイントである。
で、結局どうすのか問題
白米や小麦粉に含まれる炭水化物、リンゴなどの果物に含まれている果糖、人工的に作られた果糖ブドウ糖溶液は分けて考えるべきだろう。
この中で摂取を気にすべきは「果糖ブドウ糖溶液」であることは疑いの余地がない。しかし、絶対に摂取を避けられるかというと保証は難しい。
誠実な会社は製造原料ラベルに表記しているので、そこを確認することにしたい。
でも、少しでも自分ができることは変えていこうかと思う一冊であった。
なお、当人はここ2年くらい体重が落ちずに悩んでいることを申し添えておきたい。