【読書】走る奴なんて馬鹿だと思ってた(松久淳)
走るなんて馬鹿じゃないの?
と言われたら、「そうだね、馬鹿だと思うよ」とノータイムで回答する。
誰に頼まれたわけでもないのに、辛く苦しいフルマラソンを走り、そのための練習を積むのだから、我ながら馬鹿である。
誰からも褒められる訳でもないのに、どうして走っているのだろうか。
最初はそう思っていた筆者が走るのが大好きになるまでの経緯をつづった本。
最近、割とよくある『運動してなかった僕がマラソンを走れるようになった』系である。
走るキッカケなんて何でもよくて、走ること自体も楽しいし、健康にもよいことなので、マラソン人口が増えること自体はいいことなのだ。
普通に運動していた人がマラソンを完走できるようになっても、何のストーリー性もないし感動もない。「いや、あいつは元々運動できるやつだったから」となってしまうのだろう。
そこで、やはりこういう運動してなかった人が、何に目覚めて走るようになり、人並み以上にできるようになったのか、その気持ちが分かりやすく書かれている本の方が人気になるのかもしれない。
そんなこと、分かっていて読んでいて、途中からは「ああ、こういう場面あるよな」とうなずくこと多々。ちょっと走れるようになって、調子に乗ってペースを上げて距離を延ばして、気が付くと怪我をする。なんてのは、あまりにも普通である。
最終的にはフルマラソンを完走できるレベルにまでは到達できるのだが、普段は5分/kmで20㎞を走れるのに、どうしてサブ4できないのか不思議である。月に何回かその練習をしておけば、達成そうなものなのだが。
でも、速く走ることだけがマラソンじゃない。本人が楽しければいいのである。たとえ他人からは馬鹿だ何だと思われたとしても、本人がよければOKのはず。
走るなんて馬鹿じゃないの?と周りから思われようが、「馬鹿ですがなにか?」と笑って返せるようになればいいのである。