読書『ムゲンのi』知念実希人
なぜか昏々と眠り続ける『イレス』と名付けられた病気の患者の担当医である主人公。実は沖縄のシャーマン的な血筋の持ち主で、患者のメンタル内部にダイブして、その精神を救い出すことで、眠りから覚めることができるように。
えーっと、この時点でもうお腹一杯だったのだが、上巻の終盤で、この4人のレイス患者には接点があり、しかも絶賛進行中の連続殺人事件と関係のある人もいるという。
おお、なんかシリアルキラー的な展開が。
と思ったら、最後はまさかの夢オチにがっかり。
所々の描写で、ちょっと現実感がないな、と思わせるシーンはあった。たとえば、東京が舞台のはずなのに、実家までは特急に乗ってから路面電車に乗る、という描写があるにも関わらず、翌朝は実家から病院に通勤するとか。東京都内の路面電車は都電荒川線があるが、そのほかで路面電車となると、富山、広島、長崎あたりなので、違和感はあった。
実家は広島なのだが(予想通り)、すべてが本人の夢だったとは想定外だった。これをミステリーの範疇と呼ぶべきなのか、ラノベ的何でもありの世界と捉えるべきなのか。
そして、シリアルキラーの犯人も「あ、そうですか」位の感想しか起きなかった。へー、そうなんだー。そんなバックボーンがあったのね。全然気づかなかったわー。
上巻の終盤で盛り上がった気がしたのだが、下巻で終盤に向かってネタバレしてからは一気にトーンダウン。いや、シャーマン的な精神行動と夢オチがセットになったら、もう何でもありの世界になるのは当然。
もう少し面白い終わり方を期待していたので、長かった割には残念な終わり方だった。