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【読書】作られた天才による殺人劇「ラプラスの魔女」東野圭吾【書評】

ラプラスの魔女」(東野圭吾)を読んだ。

ラプラスの悪魔」とはすべての自然現象はあらかじめ法則化されており予測することができてしまうことである。

もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。(wikipedeia)

ラプラスの悪魔」という言葉も知っていたけれど、「ラプラス」と言われると「ガンダムUC」を先に思いついてしまうほどガンダム好きである。ミネバ様かわいい。いや、今回はそこじゃない。

今回のラプラスは前者。近い将来の物理現象や気候を把握することが可能な人間がいるとしたら。そして、それを人為的に創りだすことが可能だとしたら。

温泉街で発生した硫化水素中毒による死亡事件。当初は偶然発生した事故だと考えられていたが、距離が離れた場所で発生した2件の事件で目撃された男性、そしてその男性を探している女性が発見される。

家族の硫化水素自殺に巻き込まれて植物人間になったと思われた男性は、ある手術を受けることで奇跡的に植物状態から回復するだけではなく「ラプラスの悪魔」の能力を身につけ、復讐に手を染めるというもの。

まあ、この復讐のターゲットになる人間が相当なクソ人間で、普通に読んでいるだけで胸くそが悪くなってくるレベルである。アーティスト(笑)みたいな人種のネタが「ユートピア」(湊かなえ)と連続してしまったので、偶然借りただけなのに何というアーティストに対する連続ディス。

脳自体に特殊な手術を施すことで「ラプラスの悪魔」の能力を手に入れることができるとしたら、自分は果たしてその手術を受けるだろうか。天候さえ予測できるのであれば、競馬や競輪などのギャンブルに最適だろうし、エベレスト登頂にも役立ちそうである。

序盤に未来を予測できるのは一体どんな理由なのかと思っていたら、単に脳を手術したら特殊な技術を身につけました、というSF設定だったので「おい!」とツッコミを入れてしまうレベル。

ミステリーでもサスペンスでもなく、ただの未来予測SFなのだけど、SFにしては中途半端に現実寄りすぎな気もする。

一気に読み終わるものの読了後は「ああ、そうでしたか。」という程度の感想しか出てきませんでした。

東野圭吾のSFっぽい小説なら「パラドックス13」の方が設定にしても趣旨にしても楽しむことができた。主人公に感情移入ができるわけでもなく、トリックがあるわけでもなく、SFとしてのテーマも微妙な感じ、ちょっと残念な一冊でした。