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『海賊と呼ばれた男』で出光興産の凄さを思い知る

読みたかった『海賊と呼ばれた男』ですが、やっと読み終わったと思ったら本屋大賞を受賞したとのこと。本屋大賞、以前は知らない作家やマイナーな作品を知る手助けになっていたのですが、最近は売れてる本がそのまま大賞を取るようになってしまった感じがして、ちょっと残念だなと感じています。

 

さて、『海賊と呼ばれた男』ですが、これは実在する石油会社大手、出光興産と創業者の歴史の物語です。

石油のために戦争に突入し、石油のために敗れ去った太平洋戦争で焼け野原になった東京で石油の大切さを知っている男が国、海外メジャー、国内石油会社を相手に正面から戦争を挑んだ記録。

正直、下手な経済小説よりもフィクションのような感じがするのですが、これがほぼノンフィクションだというのだから、まさに事実は小説より奇なりを地で行っている恐るべき内容だと言えるでしょう。

それにしても、戦後、石油を巡ってこのような経済戦争があったとは全く知らなかった。凄まじい時代である。

 

どんなに景気が悪くても従業員を解雇せず、戦場帰りで職がない者を雇い、出勤簿も作らず、会社とは家族であるという、まさに戦後の昭和を立て直した素晴らしき日本的経営の姿がそこにあるのです。

しかも、単に家族経営をするのではなく、常に5年後、10年後を見据えた経営戦略を打ちたてて先頭に立って実行する姿は今の日本企業の経営から見られなくなったものなのではないでしょうか。

経営者が思い切った戦略も取らず、あるのは保身と言い訳だけ。そして、最後にはリスクも取らずに二言目には経費節減、リストラなど呆れるような発言ばかり。

やはり戦争をくぐり抜けて戦後の昭和を立て直した先人たちは本当に偉大である。彼らが託した未来に生きる我々は、先人たちの思いを受け継げているのだろうか。そう考えると、今の自分の不甲斐なさを恥じるところであります。

 

本書の中に、百田尚樹ファンだけがクスっとできる箇所があります。主人公の国岡店主が上海に訪問した際に、ある軍人に会うのですが、それが『永遠のゼロ』に出てくる彼なのです。登場しているのはほんの数行。でも、分かる人だけ分かる。そんな仕掛けが面白いのです。

 

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下

 

最近、好きな作家の一人が百田尚樹さんです。

『ボックス』の戦闘描写の上手さに魅せられ、『永遠のゼロ』で男のあるべき姿に涙し、『影法師』で本当の友情とは何かを感じ、『モンスター』で女の執念と男の軽薄さに背筋を凍らせたりしたものです。

ボックス!

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モンスター (幻冬舎文庫)

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永遠の0 (講談社文庫)

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影法師 (講談社文庫)

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