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鬼の副長の俗物ぽさも面白い『土方歳三』富樫倫太郎

土方歳三新撰組

もう今までに何度この人をテーマにした本を読んだろうか。でも、新しく出れば読んでしまう。しかも、著者が富樫倫太郎と聞けば目新しい展開はなくても、テンポよい人間関係の描写に期待してしまう。

土方歳三もので珍しいと思ったのは少年時代と試衛館時代の描写が長いこと。近藤勇沖田総司との出会い、吉原遊郭での女遊び、どこまで史実か不明だけど、京都や五稜郭常に女の影が頭の中をチラつく土方歳三というのも俗物っぽくて身近に感じる。

ああ、普通の若者の側面も持っているんだな、と。

それにしても、あの写真で有名なとおりイケメンなので「ただしイケメンに限る」が幕末時代から不変のものであると再認識。あの顔で強くて優しかったらモテない理由が見当たらない、間違いなくホモを疑われるレベルであろう。

京都に行ってからは、鼻息荒く政治家になりたがる近藤勇、それをいつも一歩引いて冷めた目で見ながら組織のことだけを考える土方歳三。いつも元気で冗談ばかりいう沖田総司

そこには「鬼の副長」と誰からも恐れられた姿はなく、冷静で組織第一に考えながらも冷徹になりきれない温かさを持った男として描かれている。

基本的にはどんな立場や状況に追い込まれても、戦いに勝つことだけを考えている戦争屋。そして、実際に勝ち続けることができる能力の高い「常勝将軍」。

ああ、なんか男として格好いいな、と思われる要素が満載なんだよね、土方歳三

著者の富樫倫太郎は「早雲の軍配者」などの軍配者シリーズを読んでから、生き生きとした人物像の描写が好きで、本作も土方歳三以外にもひょうひょうとした沖田総司、頑固者の近藤勇、策士なのに小心者の伊東甲子太郎、懐の深い榎本武揚、などが臨場感あふれる感じで描かれていて楽しかった。 

気が付けば、35歳で死んだ土方歳三よりも自分の方が年上になっていた。短い人生を圧倒的な濃密さで駆け抜けて散った男に比べると、いかにノンビリ生きているかを実感してしまう。

もしも徳川慶喜が大阪から逃げてなかったら、旧幕府軍の戦艦が沈没してなかったら、土方歳三が生き残って新政府の役人になっていたら…

歴史にifはないけれど、ふとそんなことを思ってしまうのは幕末と織田信長だけである。

さて、夏休み、久しぶりに「燃えよ剣」や「壬生義士伝」でも読みながら、京都にIngressがてら新選組関連ミッションでもやりに行こうかな。

 

土方歳三 (上)

土方歳三 (上)

 
土方歳三 (下)

土方歳三 (下)

 
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

 
燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

 
壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

 
壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)