【読書】40代は考えることがたくさんある...「40代からのお金の教科書」(栗本大介)【書評・まとめ】
40代からのお金の教科書 (ちくま新書)を読んだ。
40代になって家庭を持つようになり、家族にどのくらい費用が掛かりそうなのか、また、自分が果たしてどれくらい出世できそうなのか、おぼろげながら見えてくる。
今後必要になってくるお金について、そろそろ真剣に考えるべきタイミングが40代なのである。
平均値を気にしない
よくある毎月の食費平均値を気にして節約する人がいるが、家族構成や年収が変われば違って当たり前なのだから、気にしすぎない方がいいと説く。
まさにその通りである。家計簿診断みたいなヤツでは「平均より多いので食費を削りましょう」みたいなことを簡単に書くFPがいてげんなりしていた。
平均値と比べてどうか、というだけならFPの資格なんて不要なはず。
食費を削った結果、病気になって医療費が増えたり、毎日イライラしていたら、なんのために生活してるのか分かったもんじゃない。
その点、平均値なんて気にしなくていい!と断言してくれるのは珍しい。
保険の見直し
まあ、これは定番。
ただ、毎月の掛金だけの問題ではなく、もし自分が死んだときにいくら家族に残す必要があるのか、単純に生命保険だけではなく会社員であれば遺族年金や死亡年金などで支払われる保険金、持ち家でローンを組んでいる場合は団体信用生命保険など含めて計算すべきである。
単に生命保険会社の営業担当者の言いなりになるのではなく、家族が生きて行くために必要な金額はどれくらいなのか。また、残された家族が住む場所や収入を得る方法があるのか、など背景を加味して検討すべきである。
交通事故や病気などを気にするのであれば、生命保険ではなく共済なのでも十分なのかもしれない。
毎月の保険料掛金は家計の大きな負担になるのは間違いない。
正直、あれだけ大量にTVCMを打って不安を煽るばかりの生命保険には不満というか疑問を常々抱いている。
CMに流れているから、友人に頼まれたから、などと安易な考え方で生命保険に入るのではなく、自分の頭で考える必要がある。
介護に必要な費用
40を過ぎた者にとって避けることができないのが介護問題。
一緒に暮らして最後を看取るのか、老人ホームに入れるのか、介護士はどうするのか、自分だけでやるのかどうするのか等々
考えるべきことはたくさんある。
介護は残念ながらいつ終わるのか明確に分かるものではない。
言い方が悪いが死ぬまで続いてしまうのである。
自分の親、配偶者の親のことを考えると頭が痛い。
ある程度予見できることなのだから、ある程度はきちんと考えておくべきことなのだろう。
単純に貯金や投資で賄うのか、介護保険を利用するのか、必要な費用を算出したうえで手段を決めるべきである。
まとめ
単に「保険を見なおして、食費を節約しよう」というような紋切り型のアドバイスではなく、何をどう考えるべきか、その考え方を示してくれる一冊。
家庭によって細かい状況は違う。でも考えるべきことは似ているから、そのアプローチ方法と考え方を整理すれば、あとは自分で決定していくことであろう。
特に介護に関しては、目を背けたいが逃げられる問題ではなく、40代からきっちりと考えておくことで最悪の事態も乗りきれるのであろう。
40代以降が考えなくてはならないお金に関する課題を明確に整理してくれる、頼もしい一冊でした。