『年収150万円で僕らは自由に生きていく』に感じる違和感
- 作者: イケダハヤト
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 新書
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プロブロガーを名乗るイケダハヤト氏の著書。
年齢が一回りも違うので、最近の若者がどんな考え方をしているのか参考にしようと思って読んだみました。また、ブログが有名とのことだったので、どんな主張をしているのか気になったのも読もうと思った理由でした。
さて、氏の主張をまとめるとこんな感じでしょうか。
・年収が上がる保証もなく年金ももらえない確率が高い
・収入の多寡を目的にするのではなく、収入が少なくても楽しく生きる方がいい
・働くことの意味を見つけよう
・働き方として会社に所属しない方法もあるはずである
・社会の同調圧力に屈せずに自由な発言や行動をしていこう
なるほど。共感できる部分はあります。
アラフォーの身としても、年収が上がる、年金がもらえる、ということに対する保証はないものと思っていますし、バブル世代の浪費が美徳と言われた世代とも少し違う価値観を持っていると思っています。
いわゆるロストジェネレーション世代の価値観なんかに関しては、シロクマ先生の『ロスジェネ心理学』で面白い考察がなされていました。いわく、我々は「バブルの残り香」を持っている世代なんだとか。
- 作者: 熊代亨
- 出版社/メーカー: 花伝社
- 発売日: 2012/10
- メディア: 単行本
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今後、勤務している会社が存続し続けるという保証もなく、インターネットの出現のような大きなパラダイムシフトが起こる可能性もあるでしょう。
つまり、『ワーク・シフト』でも10年後の働き方が大きく変わる可能性があることが示唆されていたように、働き方は変わっていく可能性もあると思っています。
本書では、その辺りのことも考えての主張かと思っていますが、何だかぬぐいきれない違和感がありました。列挙してみますと、
・プロブロガーって一体何を生産しているのか。他人が作ったフレームワークに乗っているだけ?
・収入は講演会とか広告収入がメインの模様だけど、基準が変わったら終わり?
・文中に『妻が残業』との記載があったが、プロブロガーがオススメの職業なら奥様も同業にならないの?
・自分が気に入らないことは全て『社会の同調圧力』って言うのはちょっと...
『自由』という表現が各所に使われているのですが、他人(google)が作った広告モデルの上で、他人が作ったツールや書籍を、他人が作った道具(apple)で紹介して広告収入やアフィリエイト収入を得ている、という枠組みは果たして本当に自由なのかと気になるところです。本人が自由だと思っているので余計なお世話であることは重々承知ですが、私にはとても『自由』だとは思えなかったので。
また、『ノマド』という言葉も散見されたわけですが、確かに働く場所が企業の事務所に限定される必要がない仕事もあると思いますし、実際に在宅勤務制度を取り入れている企業も存在しています。一方、米ヤフーのように在宅勤務を中止する方向を打ち出す企業もあり、どのような働き方や勤務制度が最も生産性が上がるのか様々な企業が模索しているところなのだと思います。
大事なのは『ノマド』という働き方そのものではなく、何を生業にしてどのように生きていくのか。自分の専門性は何か、それを明確にした上で、どのように働くのか、ということを見極める必要があるのではないでしょうか。『ノマド』的な働き方はあくまで手段であって目的ではない。それを逆にして『ノマド』を推奨している、そんな風にも読み取れてしまいました。
何が正しいのかなんて誰にも分からないことですから、色々な考え方や生き方があって良いと思います。
ただ、アラフォーのオッサンとしては、全てを受け入れるのは難しい生き方の提案だな、と感じた一冊でした。取りあえず、自分の部下が「今の仕事の仕方は非効率です。ノマド的な働き方も取り入れるべきです。」と言ってきたらどう対応するか考えておこうかな、と思いました。
- 作者: イケダハヤト
- 出版社/メーカー: 講談社
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