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【読書】「カレイドスコープの箱庭」(海堂尊)でやっとバチスタワールドに戻ってきた感じがる

海堂尊氏のチーム・バチスタシリーズ最新作の「カレイドスコープの箱庭」を読了。

 

チーム・バチスタはどこへ向かう?

チーム・バチスタシリーズは第一作の「チーム・バチスタの栄光」から読んでいたのだけど、時代があっちに行ったりこっちに行ったり飛び始めたり、「ナイチンゲールの沈黙」みたいに不思議テクノロジーが登場してきたり、と医療ミステリーというよりも医療アクションみたいな様相を呈してきていた気がします。

その時その時の時事的な話題を取り込みながらショートストーリーを展開しつつ、しっかり桜宮市に関係を持たせているものの、これだけ発散してしまったらどうやって収拾を付けるのか、いや、そもそも拡散させっぱなしのつもりなのではないかと思っていたほどでした。

それでも、新作が出る度に読んでしまっていたのは、きっと今までに出てきた登場人物が一堂に会して、既存の枠組みを破壊して新しい秩序を創り出すシーンを見たかったからなのだと思っていました。

 

今作の同窓会的雰囲気が楽しそう

今作では、今まであっちこっちに散らばっていた伏線が少しずつ回収され始めた気がします。「ケルベロスの肖像 」で木っ端みじんに砕け散ったAiセンターの後、東城大学とAiセンターはどこに向かうのか。腹黒タヌキこと高階病院長の策略にまんまと嵌められた主人公・田口医師が八面六臂の活躍を見せる。

厚生労働省の白鳥、ジェネラル・ルージュの速水、チーム・バチスタの桐生など今までに東城大学を去ったプレイヤー達が一堂に会しての同窓会のような雰囲気が楽しくて、40歳を過ぎて仕事の同僚と仕事の話でこんなに盛り上がれる人たちって羨ましいな、と少しだけ憧れてしまうのでした。まぁ、こんな病院長の下でこんな仕事の仕方してたら、一人前になる前に潰れてしまいそうですが。

実はこの田口医師は優秀な人なんじゃないかと今さらながらに思うのです。会社でも自らの優秀さを微塵も疑わずに皆の先頭を走るタイプの人もいますが、往々にして自己と他者の評価にズレがあるものなのです。一方、普段から前面に出なくとも、優秀な人間は周囲から頼られ、押し出されるようにリーダークラスになっていきます。結果としては後者の方が下の者が付いてくるので、よいリーダーになれることが多いと感じていますが、田口医師はまさにこのパターンですね。ふと、そんなことを感じたのでした。

本作、最初は医療ミスか?みたいな入り方で、最初の田口医師の調査結果を白鳥がひっくり返したため、ミステリーっぽい話かと思いきや、全然そんなことなくてすこしガッカリしたのですが、確かに自意識過剰な人って小心者なクセにロクな事しないよなー、と妙に納得してしまいました。

 

結局、シリーズに終わりはあるのか?

このチーム・バチスタシリーズも気が付いたら随分と長いなー、と。そろそろ終わりに向かっていくんでしょうかね。一部、未来の世界が描かれた話もあったけれど、そこに繋がるまでやっちゃうんですかね。

それとも、日本国内で本当にAiが実現するまで、何らかの医療問題を提起し続けるんでしょうか。今、医療関係の小説は海堂尊氏くらいしか書いていないので、何らかの形で続けて欲しいところです。

きっと新作が出たらまた読んでしまいます。ここまで来たら、最後まで付き合ってやろうと少し腹をくくっているのです。

 

カレイドスコープの箱庭

カレイドスコープの箱庭