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【書評】カササギ殺人事件(アンソニー・ホロヴィッツ)

入れ子状態になった二つの殺人事件を追いかけるミステリー。

一つは、小説内の小説家であるアランが書いた『カササギ殺人事件』内で展開される1950年代のイギリスの田舎で発生する殺人事件。

もう一つは、『カササギ殺人事件』を書いたアランが殺された現代の殺人事件。

1950年代のイギリスの田舎風景や准貴族がどういったものでどんな生活をしていたかは、きっと「ダウントンアビー」やノーベル文学賞を獲得したカズオ・イシグロの世界観なのだと勝手にイメージしている。 

劇場版 ダウントン・アビー (字幕版)

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  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Prime Video
 

  

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

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 上巻のほとんどは作中作の『カササギ殺人事件』をが読み進めていく展開。

家政婦と准貴族が連続で死んだ事件について「犯人が分かった」と言って終わった上巻の続きが気になり、下巻の一ページ目を開くと現代に引き戻される。

おい、あの続きはどうなっただ。

それまでに犯人のヒントなんてありましたかね...とモヤモヤした状態が続くなか、今度は作者のアランが死んだ。

元々は途中で終わってしまっている未完の『カササギ殺人事件』の続きを探していたのだが、徐々にアランの死そのものを追いかけることになる。

最後、アランの死は作中作の『カササギ殺人事件』と密接に絡み合うトリックはまったく予想できなかったという点で驚いた。

でも、このアランの死も「カササギ殺人事件」の犯人も分かるようなヒントがそんなに転がっていただろうか...

 

とても上手に翻訳していると思うのだが、やはり原著の英語で読むと違う印象になるのかもしれない。アナグラムにも早く気付けるかもしれない。

わざわざ英語の文字を書いて、日本語のフリガナで書かれている英語を訳して、アナグラムの単語を推測しても、日常や仕事では使わない英単語だったりすると「分かるかい!そんなん!」という気持ちにもなる。

入れ子構造の殺人事件は一粒で二度美味しいし、緻密で初めて読んだタイプなので素晴らしいと思った。

が、それぞれの殺人事件のトリックも犯人も「うーん」という感じ。

それ、どこにヒントあったかな...疑わしかったけど、決定的な情報なかったよな、という流れなのでどうにも腑に落ちない結末だった。