【読書】パーソナルフードトレーニング(三戸真理子) 血液型と食事という新しい栄養の考え方?
パーソナルフードトレーニング 10代スポーツ選手のための 最先端の栄養学に基づく新しい食事バイブルを読了。
中学生の息子はスポーツをしているし、私自身もマラソンやトレイルランニングをしているのでスポーツと食事というのは気になるところ。
10代向けとのタイトルであるが、大人でも参考になる部分もあるだろう、と思い開いて冒頭から驚愕の新説を目にすることに。
血液型と食事の関係が大切という説
どうやら血液型によって得手不得手とする食べ物があり、それを踏まえたうえで食事メニューを作り上げるのが最適なのだという。
たとえば、私も息子も血液型はB型なのだが、特に朝から糖質を取ることが苦手な体質であり、一方タンパク質は肉も魚も得意とするのでガンガン食べるのが良いと。
元々朝食はあまり取らない方ではあるが、糖質は大好きである。朝ラン後は卵かけご飯やパンを食べるし、ラーメンやパスタなどの麺類も大好物だ。
...
なんでしょう、これ。
今までスポーツ栄養学の本を読んだりしてきたが、初めて見る新説である。カーボローディングで糖質を貯めるよりも脂質を有効活用した方がいい、など色々な説は見てきて実践してきたが、血液型との組み合わせは初めてである。
学術論文がどれくらいあるのか調べてみたが、そこに明確なエビデンスのある論文は見つからず「wired」で解説されていた。
やはり一部の人が勝手に騒いでいるだけの根拠が薄い疑似科学のようである。
本書のタイトルにある【最先端の栄養学】っていったい何を言っているのだろうか。せめて参考論文を提示してもらいたい。
で、途中で放り投げようと思ったのだが、せっかくなので最後まで読んでみた。
水以外では水分は補給できない
水分は大切で一日に2リットルくらいは補給した方がよい。スポーツをするときには水分と塩分が同時に出ていくので、早め早めに補給する方がよい。
というのがよく聞く話である。
が、本書によると「水以外のお茶や食物からは水分は補給できない。水だけで水分補給すべきである」とのこと。
お茶やコーヒーにはタンニンだったりカフェインが含まれているのが事実だが、それらの飲み物では水分補給にならない、という話は初めて見た。
また、肉や野菜などの食物にも水分が含まれているので、それらを合算して一日2リットルの水分補給というのが一般的だと思っていたが、食物からの水分も除外なのだとか。
スポーツドリンクやコーヒーではなく、水で水分補給をすること自体を否定するつもりもないし、実際に水を中心に補給することは正しいと思っている。
しかし、【水以外はダメ】という極論に走っているのはどういう論拠があるのか、根拠となる論文は提示されていない。
まとめ
何を信じるかは自由。
ただ、科学的であるということは再現性を求められる。そもそも血液型は4種類だけではないし、その血液型によって体質や最適な食事が変わるという科学的な根拠は提示されていない。
スポーツ用の肉体を作る上で食事が大切であることは、スポーツ経験者であればだれでも理解していること。個人によって体質も違えば食事のパターンを変えた方がよいことも事実。
しかし、それが血液型で決まるかどうかは別の話。
もしこの説が事実なのであれば、世界最高峰と言われるツール・ド・フランスに出場しているチームでも取り入れられてるはずであるが、そんなことは聞いたこともない。ドキュメンタリー番組でも見ればわかることである。